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TWO PIECE

ブロガーに!俺は、なる!!
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【 - |  | - | - 】
魔法試験
バレンは激怒した。必ず、このエリーを改心させなければならぬと決意した。

エリーが魔法試験を一人で受けると言い出したのだ。

魔法試験とは一年に一回開かれる国家試験、魔法使いになるための試験だった。

試験は、5日間。実技試験が4日間、それに通ったものが面接を受けられる。

すべてを通過して、はれて魔法使いだ。

この試験、一匹の動物を従えることが公認されている。

一昨年流行った映画の影響で、黒猫を従える受験者が圧倒的に多いが、最近は白いフクロウも密かに人気らしい。

アヒルのアオイはまだまだ幼い。犬のバレンはこの試験に当然同伴できるもと信じていた。



―――自分の実力を試したい。


それが彼女の希望だった。

彼女は、最後の身支度を整えると、リボンをバッグに押し込んだ。

以前、恋人のハルトから手渡されたブーケに付いていたものだ。

これは、彼女のお守りだった。



エリーは、ふと思う。その昔、誰かが言った言葉だ。

天才とは99%努力と1%の才能だ。

彼女はまさに、1%にあたる人だった。

通常、魔法試験は魔法学校を卒業したものにしか、受験資格すら与えられない。



しかし、彼女は特別だった。

彼女の家系は、まだ刀や槍で戦争が起こっていた時代から、

当時の実力者の影に付き、魔法で国を動かしてきたのだ。

だから、彼女は本来魔法試験すら受ける必要はない。

それでも、同年代の魔法使いの実力や、なにより自分の力を知りたかったのだ。

彼女はバレンの力も借りたくはなかった。





さて、どうしたものか。

あることで彼女は悩んでいた。

試験を受けると決めたものの、5日間も家を留守にすることになるのだ。

しかも、試験期間中は外部との連絡は厳禁だった。






―――彼に何と言おうか





いままで一度も、連絡がとれないということはなかったし、

マメな彼は、いままで一度も連絡をしてこない日はなかった。

それなのに、いきなり連絡がとれなくなってしまっては彼はきっと心配する。

だからといって、正直に魔法試験を受けることは話せない。

魔法学校に通っていない者が魔法試験を受けれないことは誰もが知っていたし、

まして、彼女の家系のことを話すなんて絶対に無理だ。影は影でなければならない。



悩んだ末に、エリーはハルトにメールをいれることにした。





「しばらく留守にします。私は大丈夫よ。気にしないでね。」





い、意味深すぎる。

それくらい彼女にも分かった。

だって、嘘つくのも嫌じゃない! 誰に言うともなく呟いていた。

彼女はドアノブに手をかける、後ろではバレンがふてくされている。








【 ぴーしーず | 17:28 | - | - 】
ブーケは誰の手に?

6月はきらいだ。

 

梅雨が始まって湿気が多くてじめじめする。祝日もない。

 

いいことが全くない月だ。

 

おまけにやっと時間が作れて会えると思ったのに。

 

彼女は友人の結婚式だと言う。

 

誰だ、ジューン・ブライドなんて言い始めたやつ。



 

そして、彼女の愛犬と愛アヒル。

 

奴らの僕を見る目はざまあみろと馬鹿にしてるのと憐れみたっぷりなものだった。

 

いつも一緒にいられるからって生意気な!

 

何故か彼女は奴らを結婚式にも連れて行くらしい。

 

な ま い き な ー っ !



 

・・・。

 

・・・。

 

・・・・・・ふぅ。

 

落ち着け。落ち着け。

 

何をペット相手に熱くなってるんだ。

 

しかも、今さら。

 

今日は彼女の友人の結婚式だった。



 

彼女と出かける予定だったから、特に他にすることもなくぷらぷらと散歩することにした。

 

梅雨の時期に珍しく、からっと晴れていて歩いてると少し汗ばむくらいだ。

 

いつもは歩かない道を探検気分で進むと、人が集まっているのが見えた。


 

 

「こんなところに教会なんてあったんだなー」

 


 

どうやら結婚式のようだ。

 

なんだかまた負の感情が出てきそうだから、さっさと通り過ぎようとした。

 

頭上から何か飛んでくる。

 

思わずキャッチ。

 

・・・・・・花?

 

というか、ブーケ。

 

なぜ。

 

つーか飛ばしすぎだろ。

 

思わずしげしげとブーケを見つめていると。

 


 

「ハルト!?」


 

 

聞きなれた声がした。


 

 

「エリー。あぁ、ここで結婚式だったんだね」

 

「なんでこんなとこに?なんでブーケ?」

 

「散歩してて通りかかったらブーケが飛んできた」

 

「狙ってたのにぃ!」

 


 

恨めしそうに僕を見る彼女。

 

そんな目で見られても、僕だって偶然だ。


 

 

「じゃあ、次の花嫁さんはハルトなのね」

 

「せめて、花婿さんにして欲しいんだけど」


 

 

そんなに欲しいなら。


 

 

「どうぞ」

 

「・・・いいの?」

 

「エリーが持ってた方がいいでしょ。未来の花嫁さん」

 

「ありがとう・・・ってえぇ!?どういう意味?」

 

「さぁ?ご想像におまかせします」

 



 

 

まだ本当の言葉にするには早すぎるけれど。

 

彼女とならって。そう思ったんだ。

 






【 ぴーしーず | 23:40 | - | - 】
キューピット
「ねぇねぇ、エリー。さっきから隣の人が僕のこと見てくるにゃー。」



僕はいま「空港行き」というバスに乗っている。

今日から5日間、西の方のおばあちゃんの家に行くらしい。

そのおばあちゃんの家には飛行機というものに乗らないといけないらしい。


空港とか、飛行機とか、おばあちゃんとかどうでもよかったのだが、

今回はアオイがお留守番で僕とエリーの二人旅ということが僕をワクワクさせた。


ところで、さっきから僕のことを不思議そうに眺めてくる人がいる。

通路を挟んだ向かい側の席に座ってる男の人だ。

歳はエリーと同じくらいか。社会人1年生くらいに見えた。

そんなに犬が珍しいわけでもないだろうにと僕は訝しがってエリーに聞いた。



「ねぇねぇ、エリー。さっきから隣の人が僕のこと見てくるにゃー。」

「きっと犬が珍しいのよ」

それは、思いがけない返答だった。

「なんでなんで!!犬なんてあちこちいるにゃー」

「このバスって空港行きでしょ。空港に犬が行くことが珍しいのよ。」


なるほど。そういうものなのか。

よくわからないが、僕は納得することにした。


「ほらほら、暴れないで、おとなしくしなさい。」

エリーはそう言うが、このお出かけ用のハウスは狭くて仕方ないのだ。



ふと、エリーを見上げると、笑顔でお辞儀をしていた。会釈というものだったか。

僕は顔を男の人の方に向ける。やはり男の人もはにかんだように笑って目をそらした。

それはこっそり見ていたことがばれた顔だった。

そうだ。僕のことを覗き見するでない。




空港に着くと僕はエリーとしばしのお別れだそうだ。

貨物室というところに行くらしい。






気がつくと、明るいロビーが見えた。

人がたくさんいる。どうやら、着いたらしい。

たくさんの人だかりのなかで、僕はエリーを見つけた。

エリーはさっきの男の人と並んで立っていた。

なにやら、仲よさげに見えた。




なんで?




そう思っているうちに僕はエリーに拾われた。

「じゃぁ、またいつか」

「はい、お互いよい旅行になりますように。」

僕の頭上でそんな会話が繰り広げられる。





やっと、顔を出せた僕はエリーに尋ねた。

「どういうことにゃー?」

「バレン、運命ってあると思う?」

「うーん?」

「私ね、あの人と飛行機席も隣だったのよ。」

それがすごい事なのかどうなのか僕にはわからなかった。

「きっと、運命の出会いよね。」

どうやらすごい事らしいのが、エリーの興奮からわかる。


「バレンの話しで盛り上っちゃった。バレンはキューピットかもね。」

「なんかエリーうれしそうにゃー。」


エリーがうれしそうなのはいいことだ。

ふと、エリーが変な紙切れを持っていることに気付いた。

「エリー、何持ってるにゃ?」

「ん?あ、これ。これは名刺っていうのよ。あの人、ハルトって言うんだって」




「ふーん。ところで、キューピットって何にゃ?」






ここから、エリーとハルトの物語は始まった。





【 ぴーしーず | 21:49 | - | - 】
月に願いを
最近、いつも元気な彼女が静か過ぎて怖い。
だからやめとけって言ったのに。
わたしの言うことなんてちっとも聞いてくれない。
あんな魔法気休めでしかないのに。
ま、聞く必要なんてないんだけれども。



わたしの主人のエリーはこの前自分の恋に終わりをつげたばかりだった。
魔法は上手くいった。





それなのに。

 




人間ってわからない。






魔法だけじゃ何かが足りないみたい。




「元気ないじょー」

「そんなことないわよ」

「元気だすじょー」

「元気だってば!」




毎日こうやって励ましてるのに。
エリーはちっとも元気にならない。
ぼーっとする時間が多くて、たまにふと悲しげな顔をする。
バレンはほっとけばいいって言うけれど、わたしはどうしても気になるの。
アイツが隣にいた時みたいに、幸せな顔で笑ってくれたらいいのに。
そうしたらわたしも嬉しいのに。






「お前まで元気なくしてどうするにゃー」

「エリーの元気がわたしの元気だじょー」

「何する気にゃ?」

「月にお願いするじょー」






これは昔から伝えられてるもの。
上弦の月は力があるらしい。
その日に願い事などをすると叶うことが多いとか。






「今年の上弦の月は3月3日だじょー」

「それが何にゃ?」

「雛祭りだから女の子のお願いは叶えてくれるかもだじょー」

「まぁ、がんばれにゃー」






バレンは馬鹿にするけれど、わたしは真剣なのだ。






 
3月3日、月は綺麗に現れた。



  







 
どうか、エリーが元気に笑ってくれますように。

エリーを幸せにしてくれる人が早く来てくれますように。





【 ぴーしーず | 00:00 | - | - 】
バレンタインの結論
「あーもう!しまったなー」

超特急で台所をうろつきながら、私は小さくつぶやいた。

最悪だ。寝坊した。

バレンタインが土曜日なのをいいことに、私は当日までチョコを作っていなかった。

朝から作ればいいかっていう考えが甘かったのだ。

なんとか夕暮れに間に合わせないといけない。



「もう間に合わないにゃー」

「やめとけっていう、おとうさまからのおつげだじょー」

犬のバレンとアヒルのアオイが、私のイライラなど関係なく騒いでくる。

「うるさいなー!だいたいなんで起してくれなかったのよ」

「だって、僕はそもそも今日の魔法には反対だもんにゃー」

「私が十分悩んでたのは、あんたたちが一番よく知ってるでしょうよ」

「でも、にゃー。ずっと想ってるままほうがいいと思うにゃー」

「はいはい、おだまりっ!いいかげん、犬のくせににゃーにゃー言うのやめてよねっ」

「けけけ、おこられてるじょー」

「あんたもうるさいのよ」

私は、近くにあったスプーンをアオイに投げつけた。

「いたいじょー。ぎゃくたいだじょー。こうぎします。わたしはこうぎします。」




急がないといけない。

あの魔法は一年に一度、バレンタインの日にしか使えないのだから。

チョコレートは必需品。

しかも、昼魔法だから、太陽が出ているうちにしか魔法を使えない。

今日までチョコを作らなかったのは、本当は迷ってたからかもしれない。

でも、決めたんだ。

足が震えるのは気のせいじゃないけど。

勇気が欲しい。





「よし、できた。あんたたち行くよ、それっ」

私はバレンとアオイでバイクをつくると、それにまたがり飛んだ。

「いくじょー」

「僕はあまり気乗りしないにゃー」

「いいからちゃんと飛んで。こういうことは勢いが大事なんだから。」



外にでると、夕焼けで空は紅く染まっていた。

私は夕焼けが好きだ。

いや、違うか。アイツが夕焼けを好きなんだ。

同じ時間を過ごし、同じものを感じ。

いつの間にか、私も同じものを好きになった。

そして、何よりも、アイツが好きだ。



歩くときは腕を組むクセがあって。

嘘をつくと、眉毛が少し真ん中によるんだよ。

初めて手を繋いだのは、お化け屋敷だった。

あのときのドキドキはお化け屋敷のせいじゃないよ。

素直になろう。








逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい



想いが交錯する。


この恋に決着をつけるんだっ!!





魔法を使う場所は決めていた。

そこに着いたときには、太陽が沈みかけていたけど。

ぎりぎりセーフ。

夕日が見える、この高台のベンチ。

夕焼けが綺麗だと、私たちのお気に入り。





私は、いつものベンチに想いの詰まった箱を置いた。

そして、隣に座る。

静かに時間は流れる。

夕日が沈む。

昼魔法のリミットが迫る。






私は、ふぅーと息をはいた。
























「ダイスキ」













一人で唱えるその言葉は、一つの恋を終わらせる魔法の呪文。




あいたくてたまらない



そんな気持ちがスーーっと消えていく。

その変わり、私の頬を熱いものがつたっていた。

見上げた空には、月が姿をみせていた。





【 ぴーしーず | 01:13 | - | - 】
 
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